コロナウイルスはたくさん種類があるようですが、ヒトに感染して普通の風邪をおこすのは4種類(アルファ属:HCoV-229E、HCoV-NL63、ベータ属:HCoV-OC43、HCoV-HKU1)、重症の肺炎などをおこすのが3種類(ベータ属:SARS-CoV-1、MERS-CoV、SARS-CoV-2)だそうです。
2019年令和元年12月に中国武漢から大流行が始まったウイルスは「 SARS-CoV-2 」であり、このウイルスによる感染症(新型コロナウイルス感染症)を「 COVID-19 」と呼んでいます。
ここでは、特に断らなければ誤解を生む心配のない限り、ウイルス(SARS-CoV-2)のことも感染症(COVID-19)のことも「コロナ」と呼んでいます。
◆ 3-2-1.SARS-CoV-2 の構造
◆ 3-2-2.コロナのスパイク
◆ 3-2-3.コロナのRNA構造
◆ 3-2-4.スパイクの毒性
ウイルス粒子の外観は、次のような感じです(イメージ図)。
球体で、スパイク(Sタンパク)という突起がいっぱい出ているところだけ覚えればよいでしょう。
ウイルスの断面は、次のような構造になっています(イメージ図)。
Sタンパク(スパイク) と Nタンパク(ヌクレオカプシド) を覚えればよいでしょう。
Nタンパクは、粒子の内部でウイルスのRNAを守るように包んでいます。
ウイルスに感染すると、免疫系はウイルスのあらゆるタンパクに対する抗体を作ります。
その中で、ウイルスの感染力を低下させる抗体は「抗S抗体」です。「抗S抗体」の抗原はSタンパク(スパイク)です。
何らかの原因でウイルス粒子が破壊され、内部のNタンパク(ヌクレオカプシド)が露出した時でないと「抗N抗体」は抗原(Nタンパク)に結合できません。
SARS-CoV-2 ウイルスタンパク |
免疫系 作る抗体 |
||||
Nタンパク ヌクレオカプシド |
抗N抗体 | ||||
Sタンパク スパイク |
抗S抗体 |
ウイルスの感染力を低下させる抗体を「中和抗体」と呼びます。
「抗S抗体」は「中和抗体」として感染予防や重症化を抑える働きが期待できますが、「抗N抗体」にウイルス中和能力は期待できません。
また、ウイルスのスパイク(Sタンパク)が大きく変異すると、変異前には「中和抗体」として働いていた「抗S抗体」が、変異したスパイクには結合しなくなり中和能力を失うことになります。
したがって、常に「抗S抗体」=「中和抗体」というわけではありません。
実際に「中和抗体」が十分にあるかどうかを調べる検査が「ウイルス中和試験」です。
コロナのスパイク(Sタンパク)の構造を見ておきましょう。
いろいろな論文や記事も紹介しますが、スパイクについてのイメージを作っていくのが目的なので、じっくり読む必要はありません。
コロナのスパイクは、約1300個のアミノ酸がつながってできる構造単位(モノマー:単量体、プロトマー:集合前の構造単位)が3単位集合してひと塊(トリマー:三量体)となっています。
次図の左側は SARS-CoV(SARS-CoV-1) のスパイク(三量体)、右側は SSRS-CoV-2 のスパイク(三量体)のイメージ図です。
スパイクは大きく{S1、S2、TM、IC}の4つの部分から構成されています。
「S1 と S2」はウイルス粒子の表面に出ている部分です。
「TM」はウイルスのエンベロープ(脂質膜)を貫通する部分です。
「IC」はウイルス粒子の内側に出ている部分です。
「S1」の先端近くに RBD (受容体結合部位)があり、ヒトの細胞膜表面にある ACE2 (エース・ツー)という受容体に結合します。
「S1」と「S2」の間(S1/S2)には、フーリン(フリン) furin という酵素で分解される特殊なアミノ酸配列(PRRAR)があります。
フーリン切断部位(✂️)と呼ばれており、SARS-CoV-2 の著しい感染力増強に役立っているようです。
このフリン切断部位は、昔からの風邪コロナや SARS-CoV-1 には存在せず、どこかの研究室で実験的に挿入されたと考えられています 😄。
次図のように、S1の先端構造には柔軟性があり、ふだんはRBDが抗体の攻撃を受けないように隠れていて(DOWN:ダウン)、細胞に近づくと飛び出し、ACE2に結合しやすくなるようです(UP:アップ)。
このようなS1の柔軟性は他のコロナのスパイクに比べて SARS-CoV-2 では際立っているそうです。
参考:分子シミュレーションによる新型コロナウイルススパイクタンパク質の糖鎖ダイナミクスの解析(Glycoforum Vol.24 (4), A12, 2021.04.01)
RBD(受容体結合部位)は、スパイク三量体の中央部分に位置し、ダウン型構造では半分隠れていて、アップ型構造になると外に突き出てくるようです。
ここまでの基本的な知識だけで、次の記事を(専門用語を飛ばしながら)サラッと読むことができるでしょう。
参考:新型コロナウイルスが細胞に侵入する仕組み(nature ダイジェスト Vol. 18 No. 10, 2021年)
参考:内なる敵:SARS-CoV-2が人体のタンパク質を利用して細胞に感染する仕組み(CAS INSIGHTS™, 2020.05.21)
参考:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質の構造解析 日本結晶学会誌 66, 109-114(2024)
生物の体を構成したり、物質の分解や合成といった働きを担っているのはタンパクです。
タンパクの基本骨格は、20種類のアミノ酸の連なりであり、アミノ酸のつながる順番が遺伝情報と呼ばれているものです。
遺伝情報はDNAやRNAの4種類の塩基配列によって保持されたり伝達されたりします。その際、塩基3個がアミノ酸1個の情報を持ちます。
コロナウイルスは「RNAウイルス」といって、その遺伝情報を保存しているのはRNAの塩基配列です。
塩基は4種類あり、SARS-CoV-2 では約3万個の塩基が並んでいます。
塩基の配列3個分がアミノ酸1個の情報を持っています。
つまり SARS-CoV-2 のRNAは約1万個のアミノ酸情報を持っています。
スパイクを構成するアミノ酸は約 1300 個に過ぎず、全体の7~8分の1です。
ウイルス粒子を構成するタンパク全種類(S, N, E, M)を合わせても、全体の4分の1くらいです。
それ以外のタンパクはウイルス粒子の構成分ではありませんが、感染した細胞で産生され、いろいろな活性(毒性を含む)を示します。
ここで重要なことは、mRNAワクチン(初期型)は、スパイクの遺伝情報しか持っていないということです。
つまり、mRNAワクチン(初期型)によって作られる免疫は、スパイクに対する免疫だけです。全アミノ酸配列の7~8分の1です。
これは、mRNAワクチン(初期型)接種によって作られる免疫が「ウイルスの自然な感染によって作られる免疫」よりもかなり劣る原因のひとつです。
いわゆる「不活化ワクチン」でも、ウイルス粒子を構成するタンパクに対する免疫しかできません。全アミノ酸配列の4分の1です。
弱毒化生ワクチンだと、全アミノ酸配列に準対応した免疫ができます。完全な対応ではありません。弱毒化させるためにタンパクに少し変更を加えますから。それでもmRNAワクチン(初期型)や不活化ワクチンよりもウイルスタンパクを大きくカバーできます。
詳しい説明は「3-5:感染例からコロナの免疫を知る」でおこないます。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のウイルス粒子を構成するタンパク(スパイクなど)や細胞内でウイルスRNAが作る種々のタンパクは、ほとんどすべてがヒトに対して何らかの生理的活性(ほぼ毒性)を持っているようです。
ウイルスが作るのはすべて異種タンパク(:本来ヒトは持っていない)なので、当然と言えば当然のことであり、コロナウイルスに限った話ではありませんから、これ自体で恐れおののく必要はないと考えられます。
コロナ騒動が始まってからは、世界中の多くの研究者によっていろいろな毒性の中身や影響の大きさが研究され、少しずつ明らかになっています。
コロナ(SARS-CoV-2)が有する種々のタンパクの中で、最も注目されているのがスパイク(Sタンパク)です。
スパイクの毒性はいろいろあるので、要点が整理されるには何十年とかかるかもしれません。
現時点で注目されているのは:
スパイクの毒作用はあまりにも種類が多く、「本当にコレはホモ・サピエンスの科学者が開発したウイルスなのだろうか? 地球文明よりはるかに高度な技術を持つ宇宙人(地底人?)によって開発されたのではないだろうか?」と思われるほど見事なタンパクです。
◆ 3-2-4-1.血栓形成
◆ 3-2-4-2.血管炎、心筋炎
◆ 3-2-4-3.免疫系の変調
◆ 3-2-4-4.生殖機能への作用
◆ 3-2-4-5.神経系の変調
◆ 3-2-4-6.その他・・・多数
・・・工事中・・・
とりあえず関連資料を載せていきます
「新型コロナは風邪や肺炎の症状を伴う事も多いのですが、本質的には血栓症です。血栓は動脈、静脈、毛細血管にまで及びます。重要なのは、血栓症にはコロナウイルスそのものは必ずしも必要なく、コロナウイルス由来のスパイクタンパク単独でも血栓症を起こし得るという事です。そして、そのスパイクタンパクこそがコロナワクチンの毒性の本体なのです。」
荒川央(あらかわ ひろし), 2022.09.20, note 人はコロナ後の世界の夢を見るか?
SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とフィブリンが結合し、高密度の血栓形成とミクログリアを活性化し神経炎症を起こすという論文。
— オノダクリニック ONODA CLINIC (@onoda_clinic) September 26, 2024
またNK細胞の抑制を認めたとも報告、免疫にも関与している事が示唆されますね。
添付画像は健常者の血漿とスパイクタンパク質で侵された血漿 pic.twitter.com/qelRkoVtHv
Fibrin drives thromboinflammation and neuropathology in COVID-19 Jae Kyu Ryu et al., Nature volume 633, pages905–913 (2024)
「血管炎、心筋炎」については別ページ「3-6.mRNAワクチン接種後の免疫を知る」に「3-6-5.心筋炎、血管炎、不整脈」を作っています:▶ ▶ ▶
ミハエル・メルツ博士の名著ですね。
— Stray (@K9FCR) October 7, 2024
壊死性脳炎の脳血管での連続切片(同じ血管)で、スパイクタンパク陽性、かつヌクレオカプシド陰性。
つまり、ワクチン由来スパイクが病変部位と同時に存在していることの証明。https://t.co/rffvEVD6MG https://t.co/ZqvfwpX72t pic.twitter.com/drFpL9zgyJ
スパイクは女性ホルモンのひとつであるエストロゲン様の作用を持っているようですが、女性の月経異常などの直接的な原因かどうかは未解明のようです。
生殖機能への影響については独立した別ページ「Birth Control」を作っています。
生殖機能への影響は 怖い話 になるので、ホームページのかなり奥深いところに置いています。
「3-7.ワクチン接種したのになぜ感染したのか」の後半部を経て、怖い話を冷静に受け止めることのできる心の準備を整えてから、「Birth Control」のページに進むことをお奨めしています。
心の準備は大丈夫という方はコチラへどうぞ:▶ ▶ ▶
強く警告:何の心の準備もしないで見に行くと心的外傷になるかもしれません。
SARS-CoV-2のスパイク蛋白(S1)単独で急性肺損傷を引き起こす
— Angama (@Angama_Market) February 25, 2025
- ウイルスなしでもS1が肺バリアを破壊 → 血管透過性増加、肺組織の損傷
- サイトカインストーム(IL-6, IL-1β, TNF-α, IFN-γ, IL-17)を誘発
- 酸化ストレスとNF-κB経路の活性化 → 長期的な炎症の可能性https://t.co/svLPgPmLNf
要旨:コロナウイルスのスパイクプロテインS1サブユニットが神経炎症に与える長期的影響を調査
— Angama (@Angama_Market) August 21, 2024
発見:曝露後7〜9日間、脳の免疫反応をプライミングし、その後の免疫刺激に対する炎症反応を強化。また、脳内の基礎コルチコステロンを長期間低下させ、抗炎症作用を阻害https://t.co/NSUQ1XZIz9
「スパイクタンパク質が、p53 の機能を喪失させる」ということは、2020年、つまりワクチン展開より前の研究でわかっていました。👇
— kazuchan-cocone (@kazuchancocone) September 28, 2024
SARS-nCoV-2 の S2 サブユニットは腫瘍抑制タンパク質 p53 および BRCA と相互作用する: イン シリコ研究 (2020.10)https://t.co/iAMXV5I0c7 https://t.co/n34SQOuwL7
A protein VACCINE of RBD INTEGRATED with immune evasion mutation SHOWS BROAD PROTECTION against SARS-CoV-2
— Emmanuel (@ejustin46) November 6, 2024
Scientists developed a COVID-19 vaccine using a modified version of the virus's spike protein 💯👍https://t.co/1HayrB0YaP pic.twitter.com/iLzu9JOu91
「In Deep」の記事から
スパイクに関連したものを列挙します。
「地球が最後のときに In Deep」は 岡 靖洋さんのメルマガ(メールマガジン)です:▶ ▶ ▶
岡靖洋さんの解釈は専門的な厳密性はありませんが、とても興味深い研究を引っ張り出してくることがあります。