消化器型の新型コロナ(おなかのコロナ)
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「おなかのコロナ」の可能性があると診断された患者さんは、「ホームページの案内」と「湘南コロナの案内(スマホ用簡略版)」に目を通してください。
「コロナ」と診断された患者さんは、「自然な感染後のワクチン接種(= 接種時期選定の参考)」を見てください。令和4年2022年4月以降は、接種時期選定の参考がメインページとなっています。
注:2022年令和4年1月オミクロンの流行開始後は「自然な感染後のワクチン接種(=接種時期選定の参考)」に説明の中心を移しました。
「おなかのコロナ」は、オミクロンとの競争に敗れ、約半年で滅亡したと考えられます。
2021年令和3年12月以前の記録(このウェッブページ)は、「おなかのコロナ」についてのおそらく唯一の説明資料であるので、このまま残しておきます。「おなかのコロナ」ウイルスも、研究所で作られた人工ウイルスであり、神奈川県南西部にバラまかれた疑いがあります。バラまきの可能性に私が気づいたのは2023年7月頃です。(2023.10.02)
2019年令和1年12月頃、中国(武漢)で新型コロナの流行拡大が始まりました。[ウイルス名:SARS-CoV-2、感染症名:COVID-19]
SARS(重症-急性-呼吸器-症候群:Severe Acute Respiratory Syndrome)の代表的症状は肺炎による呼吸器症状ですが、中国から発せられた新型コロナの臨床症状には、激しい腹痛や下痢などの消化器症状も含まれていました。
新型コロナ対策に必要な情報を迅速に提供することを目的として実施された世界保健機構(WHO)と中国による共同調査報告書では、約5万人強の有症状者に見られた症状として「発熱(88%)、乾性咳嗽(68%)、倦怠感(38%)、喀痰(33%)、息切れ(19%)、筋肉痛や関節痛(15%)、咽痛(14%)、頭痛(14%)、悪寒(11%)、悪心または嘔吐(5%)、鼻閉(5%)、下痢(4%)、喀血(1%)、結膜のうっ血(1%)」が紹介されています。(報告書:16-24 February 2020 #1)[注:悪心や嘔吐は発熱でも生じやすい症状です]
同じ頃、2020年令和2年2月21日付で日本の国立国際医療研究センターが報告した「NCGM COVID-19入院患者の背景・症状・診断・治療の概要」によると、入院11例中 6例(50%)に「腹痛、下痢、便秘、嘔吐」などの消化器症状を認めています。(#2)
コロナウイルスは1本鎖RNAウイルスであり、2本鎖ウイルスやDNAウイルスと比べて変異しやすい特徴があります。武漢での流行拡大中に元祖新型コロナは、消化器症状が弱まって呼吸器症状が顕著になった(つまり消化器を介した感染力が弱まり、呼吸器を介した感染力が強まった)「呼吸器型(肺炎型)」や、逆に呼吸器感染能力を失って消化器症状が顕著になった「消化器型(胃腸炎型)」などの亜型に分化したと考えられます。(#3, #4)
「呼吸器型」は空気中に多量のウイルスが飛散するため感染力が強く、すぐ全世界に拡がり、大流行しました。そして先行していた元祖新型コロナを駆逐して置き換わっていきました。呼吸器型は「欧米型」、「欧州型」とも呼ばれ、消化器症状は少なく、便中にウイルスが検出されるのは比較的稀とされています。
一方、「消化器型」の感染場所は共用トイレ等での接触感染に限られるので、感染力は弱くゆっくりと流行が拡がりました。流行する勢いが弱く、肺炎になって死ぬことは無いので(特に日本では)消化器型は関心を持たれることがありませんでした。(#5)
中国は、流行開始の初期から上気道だけでなく肛門(便)からも検体を採取してPCR検査を行いました。その結果中国は、(消化器型の存在には気づいていなかったようですが、実質的に)全亜型の感染者を把握することができ、感染制御に向かいました。
中国から日本には、元祖新型コロナに続いて欧米型(呼吸器型)や消化器型のコロナがやってきました。
しかし中国と異なり、日本は呼吸器症状のみに着目して検査・診断しました。そして基本的には、上気道から採取した検体のみを用いてPCR検査を行いました。
そのため日本では、消化器型コロナ感染者が検査を受けても上気道採取検体によるPCR検査結果は陰性となるため、(肛門・便の検査は行っていないのに)「あなたはコロナ患者ではない」と説明されて帰宅します。消化器型コロナ患者は隔離対象外となり、少し元気になると職場や学校に出かけるため、共用トイレを介して消化器型コロナは拡がっていきました。
こうして日本は消化器型コロナの流行地域となりました。
日本政府はこの消化器型コロナウイルスを研究の対象とすべきだと私は考えています。分離して塩基配列を求め、呼吸器感染能力を失った仕組みを解明すべきです。
なぜならば、この消化器型コロナは巨大なウイルス・プールとなり、その中から呼吸器感染能力を復活させた変異株が出現する可能性があるからです。
また、呼吸器感染能力を失わせる原因となった変異についての知識は、将来、生ワクチンを開発するときに役立つでしょう。
消化器型コロナの軽症有症状者がワクチン接種を受けても、抗体は産生されないようです(私は実際の1例を知っています)。新型コロナは免疫抑制作用を持っています。そのため身体内にウイルスが多数存在しているとき(つまり、すでに抗原が沢山存在しているとき)に、ワクチンを接種して少し抗原刺激を増やしたところで抗体を作るような免疫応答はおこらないと考えられます。
消化器型コロナ流行地域では、「呼吸器型コロナに対する集団免疫様効果(#6)」がある程度見られています。こうした地域では消化器型コロナの有症状者も少なくないため、ワクチン接種による抗体保有率が低くなる可能性があります。
しかし、今後日本が消化器型コロナを研究対象として流行の実態を解明することはないでしょう。日本がこのウイルスに取り組めない根本的原因は、日本の国力の衰退だろうと理解しています。消化器型コロナは肺炎になって死ぬことはないので、研究の優先度は肺炎型より低く、国力に余裕がなければ取り組むことができません。消化器型コロナウイルスは、国立感染症研究所からも、ダイヤモンド・プリンセス号のウイルス株を分離した神奈川県衛生研究所からも、『まったく興味なし』とされています。【注:2020年の夏、国立感染症研究所が消化器型コロナに関心を示さなかった理由は、国力の衰退ではなく、2021年末に流行の始まるオミクロン株のことを事前に知っていたからだと推測されます。オミクロン株は比較的優れた生ワクチンです。ビル・ゲイツもオミクロン株の流行を事前に知っていたようです。(2022.08.28)】
筆者は、2015年平成27年12月-2021年令和3年6月末の間、神奈川県平塚市の内科診療所で雇われ院長をしていました。
外来で診る患者の症状から、消化器型コロナの流行を察知し、とりあえず 湘南コロナ と呼んで呼吸器型と区別しました。
この消化器型は、中国で変異して生まれたのか、それとも武漢の元祖新型コロナが日本に来てから変異して生まれたのか、しばらくは不明でした。
しかし、その後の流行状況の分析などで、日本では初期から散発的に各地で発生していたと考えざるを得ないことがわかり、中国で変異してから日本に伝わったと今では理解しています。つまり湘南は消化器型コロナ誕生の地ではありませんが、ここではそのまま湘南コロナと呼び続けることにします。
湘南コロナが重症化することはほとんどありませんが、(日本ではどこも便のウイルス検査を行ってくれないので)精査しても診断が得られず、(コロナじゃないと言われるので)長引く症状の原因がわからないために悩んでいる人は少なくありません。
コロナ特有の症状が出ているのに、上気道採取の検体で抗原検査やPCR検査が陰性になるというだけで新型コロナの可能性を否定され、(症状の原因説明ができなくなるので)多くの診療科をまわされて、最後は精神科に行けと言われる患者も少なくありません。
当初、筆者は湘南コロナについての諸説明を印刷して患者に渡していましたが、患者数が増えて内容の改変や印刷が大変になったので、湘南コロナについてのウェッブサイトを立ち上げることにしました。(開設日:2020.12.31) (改変日:2021.07.24)
令和3年7月からは、患者説明の必要が無くなったので、今後は湘南コロナの記録を残すことを重視した構成と内容に変更していく予定です。
【湘南コロナ:その後1】筆者は令和3年10月から、横浜で診療業務を開始しました。当初は、横浜で消化器型コロナ(おなかのコロナ)が疑われる患者を多く診ました。しかし、令和4年1月に始まったオミクロン株の最初の大きな流行(第6波)が終わるころ、おなかのコロナが疑われるケースはかなり少なくなりました。オミクロン株との競争に負けたのではないかと考えられます。
図の再掲↓
Reference and supplementary explanation
#1 Report of the WHO-China Joint Mission on Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)
#2 NCGM COVID-19入院患者の背景・症状・診断・治療の概要
#3 「新型コロナウイルス 脅威を制する正しい知識」(水谷哲也著、東京化学同人、2020.05.19、18頁)
コロナウイルスのスパイクタンパクが変化すると、感染する動物種を変えたり、感染する臓器を変えたりするようです。新型コロナと近縁の【アルファコロナウイルス属】では、「ブタ伝染性胃腸炎ウイルス」のスパイクタンパクの一部が変化したため、感染部位が腸から肺に変化して「ブタ呼吸器コロナウイルス」が生まれたそうです。
#4 「京大 おどろきのウイルス学講義」(宮沢孝幸、PHP新書、2021.04.29、89-91頁)
ウイルス学者たちは、早くから消化器型コロナの出現を予想していたようです。
#5 「腹部症状を主訴に救急外来を受診した重症新 COVID-19 肺炎の一症例」(2020.4.8) これは消化器症状が主症状だった元祖武漢コロナの例です。「呼吸器感染能力を失った消化器型」ではありません。
#6 筆者の勤務していた診療所を受診した患者では、「神奈川県南西部に住み、神奈川県南西部で働いている患者で、PCR検査が陽性になった患者はひとりもいません」、また「平塚に住みPCR検査が陽性になった患者は、全員、勤務先が東京や横浜であるなど、肺炎型コロナの流行地と接点がありました」
また、神奈川県が発表している市町村毎のPCR陽性者数から人口当たりの陽性率を算出して比較すると、神奈川県南西部は長期間に渡って陽性率の低い地域になっていることが分かります。
こうしたことから、この地域は「呼吸器型のコロナに対する集団免疫が成立しているように見える地域」になっています。
新型コロナの軽症者では、抗体が作られなかったり、作られてもすぐに消退することから、湘南コロナ流行地域の「呼吸器型コロナに対する 集団免疫様効果 」は、湘南コロナの流行で抗体ができたことによる集団免疫ではありません。
この集団免疫様効果は、次の2つの効果により生じていると考えられます。(1)湘南コロナの流行自体による ウイルス干渉 により呼吸器型コロナの流行が妨げられる効果 (2)湘南コロナの感染により自然免疫と細胞性免疫が強化される効果
したがって、湘南コロナ流行地域は「性急なワクチン接種は不要な地域」だと言えます。なお、こうした効果の持続期間は不明です。
2021年令和3年夏には、湘南コロナの流行が全国規模に拡がった可能性があります。
日本におけるコロナ流行第5波は、突然8月に収束し始めました。専門家らによっても原因不明とされましたが、湘南コロナ(おなかのコロナ)の流行による集団免疫様効果の可能性があります。
興味ある方は「おなかのコロナ仮説 」をご覧ください。(2021.11.27)
スマホ用簡略版は、湘南コロナと初めて診断された患者に、最初に目を通していただいている説明です。(初版:2020.11.29)
最新版「湘南コロナ10M0214.PDF(2021.02.14)3.0MB」→→→ ここをクリックするとPDFが立ち上がります
最新版「湘南コロナ10M0214.PDF(2021.02.14)4.7MB」→→→ ここをクリックするとPDFが立ち上がります
旧版 →→→ こちら
PDF内の改訂(最終:2021.02.14)
今後の予定:欲張って地図を載せすぎたためにPDFの容量が4MBを超えてしまいました。次の改訂では図を少なくし、容量を2MB程度に戻す予定です。
感染力の弱い湘南コロナがなぜ生き残り、流行拡大しているのか →→→ こちら (2021.02.11)
湘南コロナの存在がどのようにして明らかになっていったのか、その経緯は →→→ こちら (2021.01.30)
「スマホ用簡略版」に簡単に述べていることを詳しく説明します。→→→ こちら
ホームページ開設後に追加していった分析結果です。→→→ こちら (2021.01.30)
神奈川県新型コロナ累計陽性者数のデータ(2020.01.15~12.31)など データは別のページに移動しました
「上久保・高橋の集団免疫説」は、2020年5月に発表されました。世界における新型コロナの流行状況を合理的に説明することに最も成功した理論です。神奈川県の新型コロナ流行状況を分析して湘南コロナの存在を疫学的に確認しようという試みは、この集団免疫説の刺激を受けて開始されました。集団免疫説は、今後の中長期的な予測においても重要な考え方です。
新型コロナの細分類「〇〇型」の呼称は、研究者によって様々ですが、このホームページでは集団免疫説が用いている呼称を使用しています。
集団免疫説による2020年12月時点での現状説明や将来への提言など(の関連動画)は移動しました
→→→ 集団免疫説
・・・工事中
免疫、ワクチン関係の説明です。陰謀論も紹介しています。→→→ こちら (2021.07.31)
新型コロナをどう見るかは、医師でも見解が分かれています。
いわゆる風邪の原因の多くはウイルスであり、ライノウイルス、(旧型?)コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなど様々なウイルスで風邪症状が起こります。
「風邪は万病のもと」と言われるように、厄介な難病等も始まりは風邪のような症状のことが少なくなく、何らかのウイルス感染が発病の引き金になっている可能性があります。
日常よく見られる細菌性の急性扁桃炎なども、ウイルス感染症が先行していて、それによる免疫力低下で細菌感染症が誘発されている可能性が小さくないと考えられます。
まだ比較をできる段階ではないのですが、風邪と新型コロナとの症状等を比較すると下の表のようになります。
つまり、大多数の人にとって、「新型コロナ=風邪」となりますが、新型コロナに割と特異な症状等を体験した患者にとっては「新型コロナ≠風邪だ!新型コロナをなめるな!」ということになります。
新型コロナはただの風邪ではないと言って脅威を煽る人は、逆に言えば風邪の脅威をなめているとも言えます。
風邪と新型コロナとどちらが脅威なのかは、議論する価値のないテーマのように思えます。どちらがより大きな脅威になるかは、個人によって異なるからです。
風邪と新型コロナとの比較(症状、合併症、後遺症) | ||
---|---|---|
症状、合併症、後遺症等 | 普通の風邪 | 新型コロナ |
無し~軽微→すぐに完治 | 大多数 | 大多数 |
ウイルス性の肺炎 | 〇 | 〇 |
免疫力低下 → | 〇 | 〇 |
細菌感染症の合併 | ||
免疫力低下 → | △ | 〇 |
長期間の倦怠感や微熱 | ||
免疫の変調 → | 〇 | 〇 |
心筋炎等の重篤な合併症 | ||
免疫の変調 → | 〇 | ? |
自己免疫疾患等 | ||
血管障害や微小血栓症 → | ? | 〇 |
脳梗塞・虚血性腸炎等 | ||
(こういう比較をするのはまだ早いのだが・・・・) |
(注:Google Chrome では表の罫線が表示されません)
社会や経済活動に与える影響度は、例年の「風邪+インフルエンザ」と「新型コロナ」とを比較すると、日本では同程度か、むしろ新型コロナ流行の方が小さいようです。
参考記事:「コロナ死4000人vs.肺炎死10万人」という数字をどう読むべきか(和田秀樹PRESIDENT Online2021.01.17配信)
(2021.01.16→01.17)
湘南コロナはテレビや新聞で報道されることはなく、インターネット上でも話題になることはありません。
その理由は大きく2つあります。
(1) 神奈川県=横浜市であり、横浜は神奈川県南西部で起こっていることに興味はない。
(2) 湘南コロナは肺炎で死ぬことのない安全な新型コロナなので話題性に欠ける。
第一に、「神奈川県の関心=横浜市民の関心」です。神奈川県の関心は、横浜から東京都心にかけての地域に向けられています。横浜での生活・文化・仕事などあらゆる分野で大きな影響を受けるから当然のことです。
ハッキリ言って、神奈川県南西部で何が起こっているかは、どうでもよいことなのです。横浜市民にとって。
第二に、湘南コロナは欧州系肺炎コロナと異なって、ウイルスは呼吸器に感染しません。ウイルスそのものによって起こる肺炎で死ぬことはありません。平和や安全な状態は、話題性が無いのです。戦争、事故など危険なものには話題性があります。
もし、湘南コロナでも重症になる人が多く、横浜で流行中の欧州系肺炎コロナより2倍も3倍も死亡率が高いとしたら、そんな怖いウイルスが横浜に来ると大変だということで、湘南コロナは話題になり報道されることになるのです。でも、そうではないのです。
そもそも、(繰り返しますが)東アジアにとって現在流行中の新型コロナ(集団免疫説のG型)は、小さい子供の命を奪うような残酷なことはしない心優しいウイルスです。新型コロナは(他種のウイルスと同じように)高齢者や基礎疾患を持つ人の命を奪うことはあります。しかし湘南コロナは、小さい子供だけでなく、高齢者や基礎疾患を持つ人の命をも奪うことはないのです。
以上、大きく2つの理由により湘南コロナは今後も報道されたり、インターネットで話題になったりすることはありません。
湘南コロナは、採取されて遺伝子が調べられることもなく、やがては消滅していくことでしょう。
あくまで極論ですが、「そんなに欧州系肺炎コロナが怖いのなら、神奈川県から湘南コロナウイルスを持ち帰って、公共場所のトイレなどに散布すれば、あっという間に訳の分からない胃腸炎などが流行し、新型コロナG型に対する集団免疫が強化され、PCR検査陽性者は減っていくでしょう」とも言えます。
ただし、この方法には倫理的問題が伴います。湘南コロナでも脳や眼底などの重要臓器に微小血栓症(?)による循環障害が起こって機能が損なわれることがあります。欧州系肺炎コロナに罹っていれば軽症で済んだのに、湘南コロナに罹ったために嫌な症状を抱えて苦しむ可能性はあります。トリアージと同じ倫理的問題があるので、これは現実的な方法として提案できません。
新型コロナ(現在流行中の G型)は、現代社会がそこまで追いつめられるほど怖いウイルス感染症ではありません。少なくとも東アジアにとって。
(2021.01.15)
海外で長期間拘束される恐れがあります。
呼吸器感染型のウイルスは呼吸器官で増殖し、感染者に咳をさせることで拡がっていきます。消化器感染型のウイルスは消化器官で増殖し、感染者に嘔吐や下痢をさせることで拡がっていきます。
中国武漢で発生したばかりの元祖新型コロナは、呼吸器症状も消化器症状も多く、上からも下からもウイルスが出ていました。呼吸器症状主体の欧州系肺炎コロナでは、便中へのウイルス排泄がとても少ないことが確認されています。湘南コロナは呼吸器症状が無く、消化器症状が多いので便中へのウイルス排泄が多いと推定されます。
新型コロナを検出するために中国で始まった肛門検査がスペインなど他国にも拡がり始めているようです。
湘南コロナの感染者は、日本では隔離の対象外ですが、海外渡航の際に肛門検査で陽性となり、現地で長期間の隔離される恐れがあります。なぜなら消化管のウイルスはかなり長期間排泄の続く傾向があるからです。半年以上続く可能性もあります。
これは、ひとつの可能性にすぎません。湘南コロナで便のPCR検査が陽性になるかどうかはまだ一度も確認されていないからです。もし湘南コロナが元祖新型コロナから大きく変異していた場合、PCR検査に用いるプライマー(ウイルス特異的な塩基配列を見つけるのに用いる)との結合がうまくできず、検査結果が陰性となる可能性もあります。湘南コロナ感染者の便PCR検査結果が陰性であれば、海外に行っても心配ありませんが、まだ確認されていないことです。
対策として
湘南コロナで便のPCR検査が陽性になるか陰性になるか、確認しようと努めています。横浜にダイヤモンドプリンセス号が来ていたころ、神奈川県でも便のPCR検査をしていましたが、現在は(欧州系肺炎コロナへの対処で忙しく湘南コロナへは)対応できないようです。
肛門検査による長期隔離の可能性について、外務省には知らせています。
参考
中国が「肛門でコロナ検査」開始、春節前の封じ込めに奮闘 forbesjapan (配信:2021.01.21)
中国、コロナ検査で肛門から検体採取 AFP BB News (配信:2021.01.27)
中国の「肛門検査」を嘲笑していた海外メディアが「手のひら返し」―中国紙 Gooニュース Recod China (配信:2021.02.03)
日本人も対象…中国で始まった「肛門PCR検査」のワケ FNNプライムオンライン (配信:2021.02.17)
(2021.02.11→02.17)
在中国日本大使館(北京)が肛門検査の見直し(要するに中止)を中国側に求めたようです。
参考
中国入国時に複数地点で「肛門PCR」検査、日本大使館が見直し求める…米外交官も対象 読売新聞オンライン (配信:2021.02.28)
中国で肛門PCR 邦人も対象、免除を要請―日本政府 時事ドットコムニュース (配信:2021.03.01)
便を検体とする新型コロナのPCR検査は、日本でも第1波のころ、横浜港の大型クルーズ船や和歌山県で限定的に実施されました。いずれも、「濃厚接触者なのに上気道採取検体のPCR検査が陰性の場合、隔離しないで良いのだろうか」という視点から念のために便を採取してPCR検査を行ったところ陽性になったというものです。第1波のころは、他にも(意識障害→)髄液や(乳腺炎→)母乳など、患者の症状に応じて様々な検体でのPCR検査が試みられました。
第1波の後半からは、欧州系肺炎コロナが主流になり、このタイプは便中にほとんどウイルス排泄はありませんから、日本でのPCR検査は上気道採取検体だけを用いるように特化していきました。
呼吸器症状がなく、消化器症状が多い湘南コロナでは便中にウイルスの排泄が多いと考えられ、便を検体としたPCR検査を実施していくれる医療機関等を探していますが、まだ見つかっておりません。
どの医療機関も欧州系肺炎コロナのPCR検査と遺伝子の塩基配列解析に忙しく、肺炎になって死ぬことはない湘南コロナに対応する余裕は今のことろないようです。
引き続き、便のPCR検査実現に向けて調査を続ける予定です。
なお、湘南コロナウイルスは、まだ一度も分離されたことはありません。PCR検査で用いるプライマーが結合する部分に大きな変異が起こっていた場合、現在のPCR検査では検出されない可能性があります。中国での肛門検査にも引っかからなくなるので、それはそれでメリットはありますが、病原ウイルスを確定できないという問題を抱えることになります。
PCR検査で用いているプライマーの結合部位は、変異の少ないNタンパクの部分なので、以上のような問題は起こらないだろうと考えられます(2019-Novel Coronavirus (2019-nCoV) Real-time rRT-PCR Panel Primers and Probes)
参考
新型コロナウイルス感染症の集団発生等事例集(和歌山県) 和歌山県クラスター事例集(令和2年9月) (配信:2020.09) 参照ページ:5,8
ダイヤモンド・プリンセス号での便PCR検査(横浜港) 神奈川県保険医協会保険医新聞2021年2月5日号(第2145号第1面) (配信:2021.02.05)・・・・・会員でなければ見ることができないため、記事を抜粋しておきます
抜粋: 神奈川県保険医協会川崎支部は令和3年1月19日、「COVID-19実際の臨床経過と診察時の留意点~200症例以上の入院患者から感じたこと~」と題し支部研究会をWEBライブ配信で開催。川崎市立川崎病院感染症内科の細田智弘氏が講演し、88名が参加した。・・・・・・症例報告では、横浜の大型クルーズ船の乗員乗客が初症例になったとし、・・・・・また、咽頭ぬぐい液からの複数回のPCR検査では検出されず、便検体(発熱や呼吸器症状なく下痢があったため)からのPCR検査で陽性になった事例についても紹介。・・・・・//
変異ウイルスにPCRでの検知が困難なタイプ、仏で確認 読売新聞オンライン (配信:2021.03.18)
France finds hard-to-detect COVID variant in Brittany Medical Xpress (配信:2021.03.16)
参考図書等の紹介 →→→ こ ち ら (2021.08.21)